マンション維持修繕技術者試験 04-27

【問題27】マンションの大規模修繕工事におけるシーリング工事の監理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.ガラス廻りのシーリング材に、ポリウレタン系シーリング材を承認した。

2.サッシュ廻りのシーリング材を除去する場合、アルミ枠を傷つけないために、既存シーリングを1mm程度残すことを承認した。

3.外壁躯体の打継ぎ目地のシーリング工法として、ブリッジ工法を承認した。

4.打継ぎ目地シーリングの打ち替えで、塗装される部位には汚れ防止のため、ノンブリードタイプの使用を承認した。

■ANS 4

①ガラス廻りのシーリング材は、シリコーン系かポリサルファイド系が適している。

②既存シーリングは残さない

③躯体の打継ぎ目地のシーリング工法としてブリッジ工法は適さない


※打ち継ぎ目地とは…
コンクリートの打設作業を計画的に中断するために生ずるコンクリート構造体の継目。

打継ぎ目地は、あとでシーリング材を充填するために、コンクリートの打設時、適当な溝(目地)を形成しておく。



シーリング材・コーキング材にはいろいろな種類のものがあり,中には,塗装屋としては絶対に
  使ってほしくないものがあります。
  それは,シリコン(あるいは「シリコーン」)のものです。
  シリコンのシーリング材は大変丈夫なのですが,塗料をはじくため,塗り替えの際にとても厄介な
  ことになります。
  その上に塗装するための,シリコンシーリング面への塗装用と称する下塗材もありますが,
  それを塗ってから塗装しても,「やや はじかなくなる」という程度の効果があるだけで,
  通常の密着は得られず,塗装が剥がれやすいです。
  御自身でモルタル外壁のひび割れを埋める場合には「ウレタン」か「変成シリコン」を
  使用してください。

  外壁の補修を自分で行おうと考えてネットで検索するようなアナタはかなりマニアックなタイプだと
  思いますから,ついでに,もうちょっと補足を加えます。

  ■ シーリング材・コーキング材は簡単にいうと“柔らかくしたプラスチック”です。
    柔らかくするために「可塑剤」というものが含まれているそうで,
    シーリング材・コーキング材の上に塗装すると,この「可塑剤」が塗膜を変質させて,
    そこだけ塗装表面が黒っぽくなることがあり,この現象を「ブリード」といいます。
    「ブリード」を抑止する下塗材もありますが,上から塗装する場合には あらかじめ
    「ブリード」を生じない「ノンブリード」タイプのシーリング材・コーキング材を
    使用することが望ましいです。

  ■ むき出しで使用する場合,変成シリコンよりもウレタンの方が汚れやすいです。
    (新築時に「工場塗装済みサイディング」の継ぎ目に使用されるのはたいてい変成シリコンです)

  ■ 耐候性(=屋外での耐久性)はウレタンよりも変成シリコンの方が上です。

  ■ 塗料の密着は変成シリコンよりもウレタンの方が良いといわれています。

  ■ ウレタン,変成シリコンのシーリング材・コーキング材には「高モジュラス」「低モジュラス」
    2種類があります。
    「モジュラス」というのは簡単にいうと“反発力”というような意味で,端的に喩えていえば,
    「高モジュラス」=タイヤのゴム,「低モジュラス(ローモジュラス)」=こんにゃく,です。
    Vカット部分やサイディングの継ぎ目,ALCの継ぎ目など,動くことが予想される部分には
    「低モジュラス」のシーリング材・コーキング材を使用するのが常識です。

  以上のようなわけですから,シーリング材・コーキング材なら何でも良いというものではないのです。
  今回の工事では,【ブリードしにくく塗料の密着性も悪くないという低モジュラスの変成シリコン】
  を使用しましたが,【ノンブリード・低モジュラスのウレタン】を使用するのが標準的選択です。
  でも,どちらも一般の方は入手しにくいと思いますので,モルタル外壁のひび割れの補修を自分で
  やろうと思っている方は最低限,「シリコン」ではなく,「ウレタン」か「変成シリコン」を
  買ってきてください。

  なお,水をはじかせて汚れや劣化を防ぐ目的で「自動車用ワックス」や「シリコンスプレー」を
  外壁やドアなど,建物に使用する方が稀にいますが,将来塗り替えの必要が生じるところに使うと,
  シリコンのシーリング材と同様,非常に厄介なことになりますので絶対にやめましょう。